御殿舞の小寺流
「舞」と「踊り」
日本舞踊には、大きく分けて「舞」と「踊り」があります。
「踊り」は、皆さん良くご存知の歌舞伎から生まれたもので、日本舞踊の数ある流派の多くがこれにあてはまります。
それに対し、小寺流は「舞」の流派で、例えば能や禅など古くからの芸術を取り入れたものです。
小寺流のルーツ
初めに小寺流の「舞」のルーツとなる「御殿舞」についてご説明させてください。
小寺流は、兵庫県神戸市で生まれた「御殿舞」の流派です。
お城にいらっしゃるお殿様やお姫様の暮らしを想像してみて下さい。
お城というと天守を思い浮かべる方が多いと思いますが、お殿様の生活は、お城の天守ではなく御殿にありました。
お殿様は御殿でお仕事をしたり、お姫様と舞や能、茶道を楽しんでました。
その御殿の舞というのが小寺流のルーツです。
小寺流の特徴
小寺流の舞の特長は、御殿舞の格調高く華やかであることに加え、「武道」の精神からくる心地良さを感じるものが多くあります。
それは振付の松本尚山が武道の達人であったこともあり、一般的に能からくる「舞」のイメージとは違って、体をよく使い、躍動的でメリハリがあります。
また芝居の要素を取り入れたものもあり、色々なものをお楽しみ頂くことができます。
(「舞」と「踊り」の区別を難しく考えず、私も「おどり」という表現をしております。)
歴史
少しだけ歴史をご紹介させて頂きます。
昭和4年、小寺流の前身となる子供向け舞踊教室「ミライ派家庭舞踊」を発足。
昭和10年に御殿舞宗家である松本尚山の薦めにより、初代家元の小寺一枝が小寺流を創流。
「芸成りて人格熟し 人格成りて芸全うし」 と引き継がれてきました。
舞訓
「舞を身とし 心とすること」
「舞うは美しく 自然であること」
「見る人に 和らぎと希望のわくまでの舞を求めること」
御殿舞宗家の松本尚山は、舞だけではなく書道・絵画・音楽・柔道・剣道・馬術・華道・茶道などにも精通しており、小寺流の舞の振付においても、それが活かされ独創的なものとなっております。