私の教室では、『こんなことがあったよ』 『今度、〇〇に行きます』 こんな会話をよくします。こういうお話を伺い、私も自分の興味のあるものだけではなく、色々な世界を知れる楽しい機会になっています。私は先日、国立劇場の文楽をKAAT神奈川劇場でやっており、初めて文楽の生の舞台(『絵本太功記』)を観てきました。イヤフォンガイドも申し込み準備万端! 初めてのものにはこんなにもワクワクするものなのかと思いました。

それでも始まったら、日本舞踊に携わる者として見なければなりません。(いえ、勝手にそういう目で見てしまうのです。)例えば、女性の人形が扇子で舞う場面、なんと柔らかい腕の動かし方かと感動しました。扇子を閉じる所作もちゃんと出来ています。合戦で長刀を振り廻す場面では、何でもよいから振り回すのではないのです。長刀の刃の向きが重要なのです。手で人を叩く時、普通に叩くのではないのではなく、その動作をする上半身の身のこなしが日本舞踊の身のこなしと同じです。考えてみれば人形の顔は一つで表情がありません。でも喜怒哀楽を体を使って表現しているのです。これは日本舞踊と同じ。日本舞踊も笑みを浮かべるようなことはしません。逆にそういうことがあると、顔で踊るのではないと教えられてきました。たくさんの感動を頂いた楽しい文楽でした。なんと綿密で繊細で計算しつくされた美学なのでしょう。また演奏を素晴らしいです。次々と声色変え、いくつもの人形のセリフを三味線の音にのせて芝居が進んでいきます。シンプルな演奏に人の声だけの勝負です。生のものを見聞きする価値はあります!

超一流のものに触れた一日。私も稽古を頑張ろうという良い刺激になりました。(サボると人形に負けちゃいます…笑)

2026年2月21日
小寺一光咲

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